名古屋の美容室に勤めていたO様が、地元の飯田に帰ってきて美容室を開きたいとご相談がありました。

O様の頭の中には、大体の店舗のイメージがありました。
そのイメージに、提案しながら肉付けし、形にしていくのが我々の仕事です。

入り口のゆるやかなスロープの側面には、実際にヨーロッパで使われていたアンティークレンガを縦に貼ることで、お店のロゴ看板と合わせました。

外壁は塗り壁ですが、細か目のラインを横に引くことで、ちょっと落ち着きのある欧風テイストに仕上げました。

中に入ると最初に目に入るのは、チークの板で作ったデコボコ貼りのアクセント壁。
そのアクセント壁の上は、オーナーから来店のお客様が見えるように杉を使った格子としましたが、格子の間隔は見え過ぎず見えるようにと考えました。

内部は全体的に、O様ご希望のちょっと明るめの色合いを使いながら、部分的に濃い色を使うことでアクセントを付けていきました。
塗り壁は、お客様でも手直し可能な100％自然素材の珪藻土。

そして、天井も最近では珍しい、西欧漆喰を塗ることで、照明の光の隠影がとてもきれいに見えます。
お客様が座った全面のカウンターには、タモを使って落ち着いた雰囲気をかもし出し、その下の板をオーガニック塗料（口に入れても害のない）を黒に塗ることで、やわらいイメージの中で引き締まり感を出しました。

シャンプーブースはお客様がリラックスできるよう、暗めの部屋にするために使う材料を変えて演出。
腰壁にはオーク材を使い、その上はモルタル調のフランス漆喰を塗り、天井も濃いめの欧州漆喰としました。
間接照明と控えめなダウンライトで照らされたシャンプーブースは、全くの異空間そのものです。
その異空間とカットブースの間を、杉の赤身を使った格子にすることで、なんとなく切り離された空間だけど繋がっている・・面白味のある空間を作ることができました。

トイレは、店舗の明るめとはちょっと違い、一面をアクセント壁としたちょっと薄暗い落ち着く雰囲気としました。

レジカウンター奥のスペースには、間接照明を埋め込んだお洒落な棚を配置しましたが、かなり悩みながら施工しました。

床と壁の見切りの巾木は、アルミアングルを使った、入巾木にすることで、店舗の様相を呈しました。

限られたスペースの中で、必要なものを配置していくために、ギリギリの細かい寸法で作っていくことに苦慮しました。

しかし、最後にO様ご夫妻の笑顔を見ることで、苦労も疲れも吹っ飛びました。