「太田建設さんは自然素材が売りですよね？」

飯田市でオーガニックやエコロジー食材を取り扱っているお店といったら、知る人ぞ知る『てくてく』さんです。
オーガニックやエコロジーが注目される20年以上前から、オーナーの阿部さんは徹底的にその部分にはこだわってお店を経営してきました。
そんな阿部オーナーから、オーガニックにこだわったレストランを開きたいとご相談があり、文頭のご質問から始まり、いろんなご要望を聞かせていただきました。
とにかく市内ではなく、田舎でとことん自然素材にこだわった建物にしたいと、土地探しから始まりました。

そんなオーナーの思いのつまった自然素材のヴィーガンレストラン！
床は、店舗のため、硬く耐久性に優れているオーク材を使いました。
原板を荒々しく挽いて、木目をはっきりとさせ、アンティーク調に仕上げたオーク材はとても深みを感じます。

店舗の壁は、基本的には100%自然からなる太田建設お得意の珪藻土を採用。
1階の厨房側の面は、フランスの天然漆喰を使うことで、モルタル調にも見えるアクセント壁にしたことで面白味を演出しました。
1階の天井は、杉のルーバーの木目を浮きだたせるために、ルーバーの上の面を、口に入れても害がないオーガニック塗料の黒を塗りました。

2階の腰壁には、わざと節ありの杉の横張りとし、自然のたたずまいをかもしだしてみました。
天井は、逆に節なしの杉を使い、勾配天井にすることで、くどさを感じさせずに開放感を出しました。
梁からの間接照明は、奥行きを増し、開放的で、木の美しさを際立たせます。

洗面とトイレの床は、落ち着いた雰囲気の濃い色使い、壁は逆に清潔感を出すように欧州漆喰の白を採用。
洗面とトイレで微妙に塗り方を変えたのは私のあそび心です。
トイレの横の壁は、汚れても掃除しやすいように、また、存在感をちょっとだけ出すようにウエスタンレッドシダーの横張りにしました。
洗面とトレイの天井は、大工さんにかなり苦労してもらって、木目の板の下地に黒くオーガニック塗料を塗った化粧縁を細かく入れてもらいました。
そうすることで、化粧縁に照明のレールを紛れ込ませることができ、空間の一体感を演出しました。

外壁には、太田建設お得意のダブル断熱パネルの上に、落ち着きのある色の塗り壁を塗り、屋根は耐久性を考え、ちょっと濃いめの三州瓦を採用。

レジカウンターも悩みに悩みながら図面を作成しました。
カウンターや小物置の高さや奥行き、引き出しの配置などなど。
お客様に見える側の面には、チークの板材の厚みを変えて、アクセントとなるデコボコのブロック調にしましたが、大工さんに泣きを入れられたのはご愛嬌。

入口の庇屋根には、ちょっとしたアクセントとして、100%天然木の屋根材を使いました。
経年変化を楽しめる、防火性能・台風性能・耐衝撃性能に優れた屋根材です。

まだまだ、こだわった部分はありますが、字数の問題でこの辺にしておきます。
こうして、阿部オーナーのヴィーガンレストランで提供される料理に、融合するような建築が完成して、本当に嬉しく、内心ホッとしています。